「宇宙と私たちは一体である」

（柳澤桂子生命科学者）

“『般若心経』の中心にあるのは「空」という思想…微塵な物質があってそれが寄り集まったり組み合わさったりして「色」という物の形になる。…私という存在もまた粒子の集まりで、私の周りにある粒子と常に入り交じっている。そう考えると宇宙全体がすべて繋がっている。宇宙と私たちは一体なんです。別の見方をしたら、「私」「あなた」という人間的な考え方は錯覚であり、本来皆一元的なものなんです。…私もあなたも同じなのだから、意地悪したとか、そういうことはなくなってしまいます…私はある日、電動車椅子で散歩をしていました。すると綺麗に着飾った奥様が寄ってきて「大変でいらっしゃいますね」と声を掛けてくださったんです。気持ちの良いご挨拶で、それまでだったら何とも思わなかったのでしょうけど、この時は不思議と心に何か引っかかるものがあって、車椅子を止めて考えました。「私は憐れみを受けたのかしら」。そう思ったら、何か大きなものに背中をドーンと突かれた感じがして「それは、私がそこにいるからだ」と声がしたんです。…私がいなければ、憐れみを受けることもありません。私はこの時、私という自我がなければ、この世に苦しみはないということを強烈に感じました。生きるのがとても楽になったのは、それからですね。“

悟りを開くというのはこういうことをいうのかもしれませんね。自分という我が無ければ苦しいことも悲しいことも無くなる。本当にそうなんだろうなと思います。

ただ、その代わりに喜び、楽しみも無くなるのではないかと思いますから、自分を律して自我をコントロールすることが大切なのだろうなと思います。

人間は「欲」があるから人間としてより良くしようと努力するのですが、欲があり過ぎる強すぎるから耐えられないような苦しみがあるのです。

人間はより以上を求めるものですが、今の現状に感謝し「足るを知る」ことで欲を抑えることができます。

今ある当たり前のことは、決して当たり前のことではありませんから、感謝の気持ちを自分が持って、当たり前のことに情熱を注ぐということが大切なのです。

生きていることに感謝して、人に喜んでもらえる生き方をすれば苦しみから解放されると思います。そのひとつが仕事というものなのだと思います。

そもそも仕事はお客様のためにすることですから、自分の我を押し通すことなど出来るわけが無いのです。

「俺が俺がの我を捨てて、お陰お陰の下に生きる」自分に打ち克ち、みんなに喜んでもらえる仕事をしていきたいですね。

今日もよりみんなの役に立てるよう、全力で感じて動いていきましょう。

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