「クリエイターに必要な三要素」

（早乙女哲哉天ぷらみかわ是山居）

“修業を始めた頃から、始終考えていたのは「天ぷらとは一体何か」ということ。自分のしていることは具体的に言葉で説明できなければ、今日は調子がよかった、悪かったという話で終わってしまい、コンスタントな仕事ができない。そんなことではアーティストなどとは到底呼べないでしょう。そこで、自分の行動に「今がベストか」と必ず問答を掛けるようにし、少なくても天ぷらに関しては、どんな質問を投げかけられても全部答えられるようになろうと誓いました。…例えば天ぷらを「揚げる」とはどういう状態を言うのか。私の出した結論は「蒸す」と「焼く」を同時進行で行う、ということです。…百度で「蒸す」のと、二百度で「焼く」調理とが同時進行で始まるのです。その原理を認識していれば、魚のクセを取ったり、衣をいかにつければよいかといったことが…把握できるようになります。理論はよくわからないが、油の中に入れていれば勝手に揚がるなどと思っていると、自分から何かを仕掛けていくことなど不可能で、経験が蓄積されていきません。…お客さんから「おいしいですね」と言われたら、「えぇ、そうやって揚げてます」と答えられる。…結果が必ずそうなるよう、一挙手一投足、計算し尽くした中でものづくりをしている、と。“

「自分の仕事に関しては、どんな質問でも答えられるようになろうと誓う」とても大切な心構えだと思います。

自分自身がお金を払う側だった時に、「よくわかりません」と質問に対して答えられないとき、お金を払いたいとは思わないのではないでしょうか。

実際に何でも答えられるかは別として、仕事をしてお金をいただくのですから、自分が提供している仕事に関して答えられるようにしようと自分自身で決めて取り組むということは、社会人として最低限のマナーなのだと思います。

周りと自分、そして道具、関わる全てをよく観察して、いつもと同じ結果を得るために、自分自身をコントロールしていくことが重要なのです。

「いつ頼んでも同じ」これが仕事であり、安全・安心というものですから、細部まで拘って再現性を高めていくことが大切なのです。

大きくは変わらなくても、人も物も環境も毎日必ず何かしらの変化がありますから、何となくで仕事をしていては再現性が高まりません。

詳しく具体的にすればあなたに理解できないことなんて存在しないと思いますから、落ち着いて細部に拘り、自分自身にひと手間かけて、確実な仕事を提供していきたいですね。

今日もよりみんなの役に立てるよう、全力で感じて動いていきましょう。

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