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「塩瀬饅頭総本家の家訓」

「塩瀬饅頭総本家の家訓」

(川島英子 塩瀬饅頭総本家34代当主)

 

 

“600年以上にわたる塩瀬の商売を支える家訓として守っているのが、「今日一日の事」と「崋山先生の商人に与へたる教訓」です。いずれも、31代の渡辺利一が以前より聞かされていた渡辺崋山先生の遺訓を教訓として、家訓としたものです。その中で特に大切にしているのが「買人が気に入らず返しに来たら売る時よりも丁寧にせよ」というものです。クレームがあった時の対応は売る時よりも丁重にしなければなりません。どのようなクレームがきても言い訳をせず、不快な気持ちにさせたことに対してひたすら謝る。それだけ遠方であっても、お客様の元まで即刻謝りに行くようにしています。菓子一筋に生き抜いた父の「材料落とすな、割り守れ」の訓えは一時も忘れたことはありません。材料が足りなければ代用するのではなく、売り止めにせよ、また素材の分量は決して崩してはならない、というのが父の考えでした。そして戦後の物資不足の時でも「まがい物は作らない」と、その信念を頑なに守り通したのです。

 

 

先人の残した言葉を大事にしてきたことで、600年もの間お客様に役に立つことができたということですね。

どの言葉を特に大事にするかは、その時の当主がその時代に合わせて決めてきたのだと思いますが、どれも今も昔も変わらない大切なことだと思います。

色々な昔の言葉に触れさせていただいていると、大切なことは、分を律し、みんなのために精進することである。そう言われているように感じます。

昔は仕事=家業でしたから、仕事とプライベートが分けられることはなく、人生の豊かさ=仕事の繁盛=自分の成長がわかりやすかったのだと思いますが、みんながそうやって精進してきたから、今の日本の豊かさがあるのだと自然と感謝の気持ちが湧いてきます。

 

家の生業を当たり前に手伝ったり、幼い時から丁稚奉公をして育って行く。仕事と生きるということがセットであったのです。

今の私たちは幸せなことに、最悪は働かなくても生きていけます。だからといってみんなが働かなければ日本のこの幸せは維持することができないのです。

ひとりひとりが義務を果たすことで、権利というものは維持され、より良い権利を補償していくことができるものです。

今の豊かさに感謝して、先人の言葉を大切に全力で働いていきたいですね。

 

 

今日もよりみんなの役に立てるよう、全力で感じて動いていきましょう。

 

 

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