「生かされている実感」

（大石邦子エッセイスト）

“私の身体が萎えたまま一生回復しないことを百も承知している父は、同じ言葉を繰り返す以外に、私への愛情を表現する方法を知らなかったのでしょう。あとで聞くと、父は帰りには必ず看護婦詰所に寄り、「お願いします」「頼みます」と、これも同じことを繰り返して、何度も頭を下げたそうです。私は一人ではないと思いました。両親をはじめ、たくさんの顔が浮かんできました。自分はどんなに多くの人に支えられているかを痛いように感じました。私は生きているのではない、多くの命の絆に結ばれて、生かされているのだ。素直にそう思えました。“

この世に生まれてくることですら、自分一人ではできませんから、先祖代々から繋げてくださっているということに感謝することが大切なのだと思います。

そして、命の絆に結ばれているからこそ、多くの命に助けられるより、多くの命を助けるように努めることが重要なのだと思います。

そうやって、周りによい影響を与えることのできる人間になることをみんなが努力をしてきたから、人間社会は豊かになってきているのだと思います。

自分のことより相手のことを優先するから、協力し合うことができ、豊かになっていくのです。

それは決して難しいことではなく、自分がやるべきこと、今やっていることを一所懸命にやることがスタートです。

自分に与えられた責務を感じ、全力でやり切る。みんながそれをすれば、自然と豊かになっていくのです。

感謝の気持ちで相手のために行動し、「ありがとう」の言葉をいただく、こんなに自分の命が喜ぶことはありません。

今日もよりみんなの役に立てるよう、全力で感じて動いていきましょう。

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